コンテンツマーケティングには様々な手法がありますが、自社のブランディングや顧客獲得に対して効果的なコンテンツを選定する必要があります。この記事では、コンテンツマーケティングを検討・実践している方に向けて、手法や実践する際のコツを紹介します。
この記事のポイント
- スマートフォンを中心に、デジタルコンテンツのニーズが高まっている
- コンテンツマーケティングには視覚的・聴覚的・双方の訴求がある
- チャネル同士を連携させることでユーザーの回遊性が高まる
それでは、まずはコンテンツマーケティングの手法についてお話していきます。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、ユーザーの興味を引く魅力や有益情報を発信することで、自社商品が売れる環境や仕組みを作ることです。
その手段はデジタルからアナログに至るまで様々で、文字や絵など視覚的訴求や音声による聴覚的訴求、その両方を兼ね備えた映像やウェビナーなど目的によって使い分けられます。
コンテンツマーケティングをする上で重要なのは、顧客に伝えたいことを効果的に発信できるコンテンツの選定です。
コンテンツマーケティングが必要な理由
デジタルを中心に、コンテンツマーケティングのニーズは年々高まっています。
Glossom株式会社が全国の10~70代の男女1442名に向けたアンケート調査では、情報収集をする際のスマートフォン平均利用時間は2020年時点で126.6分(前年比13%増)とのことです。
中でも最も見られているのが、SNS(約67分)、サーチエンジン(約60分)とメディア(約40分)です。
昔は図書館などで情報収集を行っていたところ、デジタルの発展によりスマートフォンやタブレットからも得られる情報の需要が高まってきました。
コンテンツマーケティングを行うことで、幅広い世代に向けてリアルタイムな情報発信をすることもでき、コンテンツの種類によってはその情報をストックすることも可能です。
コンテンツ=伝え方×利用媒体
【図:弊社作成】
コンテンツは、文字や絵などの「伝え方」とブログやSNSをはじめとした「利用媒体」のかけ算により発信できます。
自社のメッセージを届けるにはどのような伝え方が効果的で、自社が届けたい相手に受け取ってもらえるにはどの媒体を使うといいのかそれぞれ検討する必要があります。
伝え方
自社が発信したいメッセージをどのように出力方法で表現するのかという、デジタルコンテンツの表現方法は大きく分けて以下の5つのタイプに分かれます。
- 文字
- 絵
- 音声
- 映像
- 体験型
それぞれを発信する上で相性の良い媒体にはどのようなものがあるか、事例とともに見てみましょう。
【文字】ブログ、インフィード広告、資料(ホワイトペーパー)、SNS、レビューなど
伝えたいことを文字に起こし、ブログやWebサイト、SNSなどに投稿します。
「コンテンツマーケティング」と言えば、SEO記事作成などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。このブログ記事もまさにこの分類に当てはまります。参入障壁が高くないので、取り組んでいる企業も多いです。
他にも、インフィード広告や資料系コンテンツ(ホワイトペーパー)、TwitterなどのSNS、レビュー・口コミなどが当てはまります。
なお、ホワイトペーパーの作り方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方は参考にしてみてください。
【絵(画像)】図解、イラスト、漫画、写真、資料(ホワイトペーパー)など
図解化したり、イラストや漫画などのクリエイティブを活用して、自社の伝えたいことを分かりやすく発信する方法です。幅広い層の読者に伝えやすく、活字に比べるとライトな層も狙いやすいです。
広告に漫画を起用したりイラストや図を動画や記事制作に用いたりなどして活用できます。
例えば、アパレルやインテリアなどのブランディングでおしゃれな写真をInstagramに利用したり、Pinterestなどのプラットフォームにブログ写真などをタグ付けすることでコンテンツを読者へ届けられます。
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【音声】音楽、インターネットラジオ、ボイスメディア、音声SNSなど
先ほど紹介した図の右側の「聴覚」に訴求するコンテンツです。
音楽やインターネットラジオはもちろん、ブログのようにコンテンツを貯めておけるアーカイブ型音声メディアのVoicy、スタンドFMなど様々な音声コンテンツが提供されています。
最近ではリアルタイム配信ができる音声SNSのClubhouseも人気で、「ながら聞き」が出来る点は情報過多の今、音声コンテンツが重宝される理由の一つです。
【映像】ウェビナー、動画配信、SNSなど
自社の紹介動画やインタビュ―動画、企画などをサイト上やSNS上で公開するコンテンツ発信方法です。視覚・聴覚ともに訴求でき情報量を多く載せられるメリットがあります。
リアルタイム配信でウェビナーやライブ配信コンテンツを届けることもできますし、NetflixやYouTubeなどの動画配信プラットフォームやSNSでは、見たいコンテンツをアーカイブからいつでも観ることができます。
【体験型】アプリ、ゲーム、Webサイト、VR・ARなど
実際にユーザーが体験するインタラクティブなコンテンツです。
近年、ARやVRなどの技術が発展してきたこともあり、オンラインでもシュミレーションが出来るコンテンツが増えています。
北欧のおしゃれなインテリアショップとして知られるIKEAでは、ARを用いて自分の部屋にIKEAの家具を置くシュミレーションアプリを提供しています。
【引用元:IKEA YouTubeチャンネル『Say Hej to IKEA Place』】
建築用の塗料などを製造・販売しているエスケー化研株式会社の公式サイトでは、建物を自由にカラーリングできるシュミレーションコンテンツを発信しています。
【引用元:エスケー化研株式会社運営『住宅塗り替えシュミレーション』】
コンテンツマーケティングの実践方法
コンテンツマーケティングの種類・手法が分かったところで、それらを活用し自社で発信をする際の実践方法を紹介します。
自社に合う手法を選ぶ
先ほど挙げたもののうち、自社に合う発信方法はどれなのかを検討します。
以下のステップで自社の目的を明確化し、顧客のニーズを探りましょう。
目的を明確にする
コンテンツマーケティングをする目的は企業の業態や課題によりさまざまです。
- 自社の認知度・ブランド力向上
- 見込み顧客の獲得
- 商品購入
- 自社のファンを増やすためのコミュニティづくり
上記以外にも考えられるでしょう。
自社がどのような課題を抱えているのか。なぜコンテンツ発信が効果的なのかがイメージできて初めて、人を動かすコンテンツを作ることができます。
自社商品・過去のコンテンツを分析する
まず、自社の商品の強みを分析します。おしゃれだったり、かっこいい世界観がウリであれば、写真や動画など視覚に訴えるコンテンツが合うでしょうし、ビジネスのノウハウや最新情報に強いなら記事などのコンテンツが合います。
次に、これまでの施策を振り返り、反応が良かったもの、成果に繋がったもの、そうではなかったものなどそれぞれのフィードバックをします。
そうすることで、自社に合うコンテンツタイプの傾向が見えてきます。
顧客の検討層に合わせた発信をする
コンテンツマーケティングと言うと、つい「今すぐに購入検討している顧客層」にアプローチをしがちですが、世の中に存在する生活者のほとんどはこれに該当しません。
潜在層、顕在層にはそれぞれに合う発信方法がありますので、コンテンツごとにターゲット層を区別しましょう。以下の図で言うと、一番外側の「Audience(聴衆)」のターゲット層に向けて発信することで、今後の顧客の幅を広げられます。
【引用元:semrush『The Ultimate Guide to Content Marketing Strategy in 2021』】
顧客化には見込み顧客の母数が絶対的に必要ですので、緑色の層に向けたコンテンツ発信にも力を入れましょう。
もちろん、最終的には図のグレー部分である「Advocates(支持者)」、つまり自社やあなた自身、ブランドのファンを一人でも増やすことが重要です。
彼らの期待に応えつつ、聴衆層に向けてもアプローチをし続けてサービス拡大を狙いましょう。
オムニチャネル化
コンテンツ発信の質を上げるテクニックとして、「オムニチャネル化」、つまり自社とユーザーの接点である各チャネルを繋げ、統一したユーザー体験を提供する手法があります。
例えば、InstagramやTwitterなどのSNSや自社サイト・メディアなどのチャネルを複数持っているにもかかわらず連携させていない場合、ファンとしてはそれぞれをブックマークしてアクセスするなどユーザー体験が途切れ途切れになります。
チャネル同士を自由に行き来できるように連携させることで、ユーザーは自社のコンテンツをより回遊しやすくなります。
オムニチャネル化はデジタルに限ったことではなく、例えば実店舗を持つアパレルショップの場合、遠くに住むユーザーが商品を購入したい場合や店舗商品の在庫切れの際にECサイトを設けておくことで顧客の購買がスムーズに、自由になります。
まとめ
コンテンツマーケティングには、実に様々な手法があります。
今後新たな技術やサービスが生まれれば生まれるほど、その手法も多岐にわたりますので、日ごろからトレンドをチェックしたり情報収集を行うことがおすすめです。
また、先ほどお伝えしましたが、自社に合うコンテンツを選定するにはマーケティング全体を俯瞰して見るロジカルな視点も必要です。専門知識のある担当者が不在の場合には、プロの力を借りてみるのも一つの手でしょう。
弊社ではマーケティング視点からコンテンツマーケティングのアドバイスをするコンサルタントがおりますので、疑問点などあればお気軽にご相談下さい。